CM RANDOMリプライズ (Apr.15, 2005)
大昔の昔話です。
'97年9月から'00年11月まで、「CM RANDOM」というテレビCMサイトを開いていたことがありました。まだ、ネットの裾野がとーても狭かった頃の話です。接続と言えば、28kモデムで23時〜早朝6時のテレホーダイにダイヤルアップ。2ちゃんねる文化もブログ文化もまだなく、ネット住民も理系学生か理系会社員がほとんど。など、変化を語ろうと思うと枚挙にいとまがないですが、とにかく「狭かった」の一言で括れる、そんな時代に隔週連載していたビジュアルエッセイです。
当時のデータは、管理人がえ〜かげんなもんでとっくに消失してるんですが、最近ちょっとある要請があって、一話だけ新たに書き下ろしました。なかなか好評だったので、ここにも載せてみますね。題して、CM RANDOM リプライズ↓
■「誰かやるだろう」は永遠に誰もやらない?(Apr.14,2005)
ホワイトボードマーカーって本当、「消耗」の激しい消耗品ですよね。よくわかります、満を持して板書しようと手に取ったマーカーがインク切れだったりすると、どれだけ動揺することか! しかもトレイに山ほどあるマーカー、試し書く端からどれもこれも使い物にならないヤツだったら......!
以上は、三菱から発売された、インクの終わりがひと目でわかるホワイトボードマーカー『uni お知らセンサー』CMのヒトコマです。このイライラ理解る〜! 白板マーカーって、ボールペンやマジックと違ってデジットな終わり方しないんですよね。薄いながらもまだ書ける、まだ書けると思わせるようなマンガン電池みたいな終わり方で。手にした人は、勿論インク切れに気づかなかい訳ゃないんですよ、ただ「まだ捨てるに忍びないなぁ......」と揃って遠慮しちゃうだけなんですよ。
この新しいマーカーは、インク残量が一目瞭然。たくさんある使いかけマーカーの中でどれが書けそうか、一目で分かるしくみ。でもね、そんな機能なくたって本来、インク切れに気づいた人が捨てれば済むことなんだよね。
「誰かやるだろう」と思ってる仕事は結局誰もやらない。CM中の板書の彼に、「いいから捨てろ! 書けないの確認したらまずオマエが捨てろ!」気づいたら大声でツッコミ入れてる私がいました。
何でやめたのか?は、よく聞かれます。書けなくなった理由を、旧サイトの閉鎖告知で「読者が何を求めているのかよくわからなくなった」と漠然と書いたのですが、まさにそれこそが正解だったこと、今、振り返って自分でもよく理解りました。
2000年に入ったあたりかな? 急にネットの敷居が低くなりました。それまで「理系男子20代前半」を核にプラスその周辺住民、だったネット人口の偏ったピラミッドが一気に、リアル世界の性別人口比に近い物になった訳です。ある人はそれを「Yahoo!BBの功績」と説明してくれました。「ジオシティ(無料ウェブサイト作成サーバー)」より更に敷居の低い「はてなダイアリー(以降のレンタルブログ)」の出現だと説明してくれた人もいました。
新しくネットに入ってきたお客様は、コンピューターと無縁に育ったメカ音痴もいれば、社会の波にもまれる前の小中学生もいる、新しいメディアを敵視してるお父さんお母さんもいる。今、振り返るから言えることだけど、2000年前後ってまさに、そのターニングポイントだったんですね。
そして、新しい客層の様々な価値観を前に、裾野の狭かった閉鎖社会に知らず知らず慣れてしまってた私は、ただ呆然とするしか出来なかったのです。お客様が何を考えて何を求めているのか、急に理解らなくなった自分に何とも言えない自信喪失を感じた。そして、筆を置いた。当時は、ネットサーフ出来る時間が激減したことにその原因があるのでは?と思ってましたが、今思うと、自分のその「適応能力不足」が正解っぽいです。
- [1] dycom
- わはははは。
ウチの会社にもあるよ。
書けなくなったのに置いてあるマーカー。(w
でもね、あのマーカー。
書けなくなったと思っても、頑張ると書ける時があるから不思議。
だからきっとみんな捨てないんだろうね。
俺もそのクチだし。
俺がネット徘徊を辞めた理由に近いね。
低年齢化は良いんだが、エチケットの無さ
稚拙な行為に飽き飽きして、固定サイトしか行かなくなった。
閉鎖社会だったけど、そこには秩序と道徳があったのになぁ・・。
- [2] PICTO
- ああ、なんか「辞めた」理由を文章化してみてよかったなぁ。同じ時に同じこと感じてたひとが私以外にもいたんだ!という心強さを感じたよ。書き込みありがとう、dyちゃん。
私が苦手だったのも、そういう人種だな。ネット文化が「もともとそこにあるもの」としか理解してない奴等。その時代の前からネットにいた住民は全員、「ネット文化はひとりひとりの努力と良識によって維持されているもの」って自負を持ってた気がするよ、大なり小なりね。
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私は俺じゃない。 (Feb.05, 2005)
先日ネット友達Aに言われたんですよ、「PICTOさん、いつから自分のこと『俺』って言うようになったの?」と。え? 私はずっと一人称『私』だよそんなに『俺』なんて使ってるっけ?と問い返すと側にいたネット友達Bも、「うん、俺って言ってるよね」と相槌。
これはしまったぞ。「私はネナベではない」と主張しながら一方でネナベの自作自演? ちょっと調べてみよう。その会話の直前にあったコラム記事がコレだと思うんですが、コメントのやりとり中も含めて一人称に何を使ってるか、数えてみました。結果......
- 私 3回
- 俺 5回
ダメじゃん_| ̄|○>俺。
スミマセン↑はわざとです。実は、一人称『私』と『俺』は意図的に使い分けてました。私は俺じゃないんですよ。俺は私なんですが。
『私』というのは英語で言う「I」とイコールだと思ってます。私。わたし。自分を指す言葉で、それ以上でも以下でもなく。
じゃあ『俺』は?と言えば......
- 書いた人が普段「私」でなく「俺」を話し言葉で使ってる。
- 主格が男性だと理解らせる(思わせる)ための演出。
- 同じく、文体を粗暴に見せるための演出。
- あなたでも、他の誰でもなく、俺。という「私」よりも強い一人称。
え〜と、正解は4番です。なんて言うかこう、私の文調って結構決めつけっぽいじゃないですか(<自覚アリかよ俺!)。だから、これは一般論じゃねーぞ、俺が一個人として意見や感想語ってるだけだぞ、と強調したいときに、あえて『私』でなく『俺』を使ってるんです。「I」でなく、いわば「I,not you」の語調で。もしくは、一人称『私』の記事文に自己ツッコミしたい時、↑上みたいにツッコミの部分だけ『俺』を使うとか。
一人称バリエーションは、俺だけでなく僕・アタシ......投稿文なんかでは、アチシ・アテクシなんて言う「聞こえ言葉」を文字に落とした物なんかもアリだったり。それらは全部結局は『私』なんですが、逆は真ならず。ブログや日記なんかで無意識に使い分けてる人、意外と多いんじゃないかと俺は思います。
- [1] Algernon
- 一人称で「漏れ」を使ってなかっただけ、マシと思われ(w
確かに言われてみると、実生活で私も使い分けてるトコロはありますね。私の通常の一人称は「俺」ですが、個人的には「僕」を復活させたいなと・・・(何故?)
- [2] PICTO
- 「漏れ」は特定チャンネル以外でも通用する一人称なのか小一時間(以下略
まあ、俺に関しては「私」以外は全部ワザとヤってます。
>私の通常の一人称は「俺」ですが
↑なんかもう、これ自体フシギな日本語ですよね、すでに。
- [3] Algernon
- >なんかもう、これ自体フシギな日本語ですよね、すでに。
確かに(笑)
PICTOさんの記事を読んでて思った事は、文字や単語固有の力という感覚ですね。自分の事を表すためだけに使う、ただの「一人称」ですが、これが変わるだけでも言葉や文章の重さや強さといったものが変わって来る。正直、こうした効果なんて、考えた事も無かったです。
文字自体の意味や、ひらがなで書くのかカタカナにするのか、また、口から発した時の音でも・・・と、どんどん考えて行くと、本当に選んで使わなくてはいけないなぁと思いますね。物書きの方々って凄い事やってるんだなぁと、今更ながら驚いていたりします。
- [4] dycom
- 文章で伝える事のメリット・デメリットがありますよね。
多分、一人称を使い分けるのは文章だからで、
普段から使い分けてる人ってそんなにいないよね?きっと。
俺の一人称は俺ですが、たま~に
意外に可愛い自分をアピール(w)するために
「おいら」なんて使ってみたりしますかな。
- [5] PICTO
- つーか、「ネット友達A」」扱いしてスマヌm(--)m>dyちん
ね?そうでしょ? 話し言葉ではちゃんと「私」だったよね?私。
- [6] dycom
- AでもBでもOKですよ。(w
話言葉ではきっちりと「私」を使っておられました。
ここ法廷でしっかりと真実を述べさせて頂きます。(w
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ユニコードはブログに乗って (Jan.22, 2005)
さて、「いつユニコードが日本で市民権を得たのか?」と言えば、多分去年の4月なのだと思います。Googleが検索時の文字コードのデフォルトをShift_JISからUTF-8に変更したのが2004年4月22日、日本一のポータルサイトはユニコードを採りました。従来の体系と互換性がない、従来のソフトでは文字化けして読めない、という新しい文字体系ユニコードがウェブでシェアを伸ばしたきっかけ、それはブログの流行とも関係があると思います。
馴染んでない方は初めて聞く言葉かもしれませんが、ブログの特徴的機能のひとつに「トラックバック」があります。ウチも過去に一件トラックバックを受信しました。←左のページで見るとおり、他人のブログ内記事にリンクを送り込む機能です。これ、普通の掲示板のカキコよりも、送受信側で文字コードのコンセンサスが取れていないと文字化け起こしやすいでしょうね。そんな便もあってか、多くのブログツールが国際規格のユニコードで書かれてるんですが、ブログ人口の伸びとユニコードのシェア獲得が時期的にカブってるの、偶然じゃない気がします。
それでも、まだ新しいコード体系だけに従来の環境と衝突することもあります。daichiさんの指摘で私も初めて知ったのですが、ユニコードで書かれたページにはMacOS9+IEからは書き込み出来ません。恥ずかしい、右のカラムに「動作確認・IE5.1 for Mac」としっかり宣言してるにも関わらず、書き込みの確認は怠ってたよ! 本当にスミマセン。
該当環境から見ると、投稿用のテキストエリアに入れた文字がこう見えます↓。
ただ、「お前のサイトに書き込めないぞ!」という連絡を一件も貰わなかったことからも(面倒だからいちいち報告しなかった可能性も大きかろうが)、該当する環境は非常に少数なんでしょう。検索しても同様の文字化け現象はMacOS9+IEでしか確認出来なかったし、じゃあ、OS9+IEがどのくらいいらっしゃるかと言えば......ウチのサイトの最近の来訪者では全体の2%足らずでした。
あとは前章でもチラっと触れましたが、CG検索サイトTINAMIの更新情報収集ロボットがユニコードに対応していません。
↑思いっきり文字化けします。クサレ絵ですがウチも一応CGサイト、TINAMI経由でいらっしゃるお客様も決して少なくないんですよ。ちょっとは困りましたが、とりあえず半角英字なら化けないので、英文で更新情報を載せることでしのいでます。過渡期ならではの問題なので、もうしばらくしたらこういう問題はほとんど解決するんじゃないかとは思いますが。